2026年10月23日、政府は法人の「実質的支配者」の情報を国に届け出ることを義務付ける新しい法案を閣議決定し、国会に提出しました。
「実質的支配者って誰のこと?」
「うちは小さな会社だけど、届け出が必要になるの?」
「25%以上の株を持っている人が対象なの?」
そんな疑問を持った経営者さんもいるのではないでしょうか。
今回の法案は、大企業だけのお話ではありません。株式会社や合同会社など、身近な中小企業にも関係する可能性があるんです。
しかも、これから設立する会社だけでなく、すでに営業している会社も対象になる予定。
ただし、2026年10月24日現在は、まだ法案の段階です。新しい届け出義務が始まったわけではありません。
今回は、対象法人、議決権25%超のルール、届け出の期限、罰則、そして中小企業が準備しておきたいことまで、わかりやすく紹介しますね♪
1. 実質的支配者の届出義務とは?2026年10月23日に法案を閣議決定
1-1. 会社を本当に支配している人を国が把握する制度
実質的支配者とは、簡単にいうと「その会社を実際に支配している人」のことです。
英語では「Beneficial Owner」といい、略して「BO」と呼ばれています。
例えば、会社の代表取締役が田中さんだったとしましょう。
ところが、会社の議決権の80%を別の佐藤さんが持っていて、重要な経営判断に強い影響力を持っている場合はどうでしょう?
この場合、代表取締役の田中さんではなく、佐藤さんが実質的支配者に該当する可能性があります。
つまり、名刺に書かれている肩書ではなく、実際に誰が会社を動かせるのかを見る仕組みなんですね。
2026年10月23日に政府が閣議決定した法案の正式名称は、「法人等の実質的支配者に係る情報の把握等に関する法律案」です。
長い名前ですが、目的は意外とシンプル。
会社の背後にいる人物を把握し、法人が犯罪などに悪用されることを防ごうというものです。
1-2. 届出義務はいつから始まる?
ここは最初に押さえておきたいポイントです。
2026年10月24日現在、新しい法律の施行日は確定していません。
法案では、一部の規定を除き、公布から1年6か月以内に施行する仕組みが予定されています。
| 項目 | 2026年10月24日時点の状況 |
|---|---|
| 閣議決定 | 2026年10月23日 |
| 国会提出 | 2026年10月23日 |
| 法律の成立 | まだ成立していない |
| 施行日 | 未定 |
| 施行の期限 | 法案では公布から1年6か月以内 |
| 既存法人の届け出 | 法案では施行日から30日以内 |
注意したいのは、「2026年10月23日から届け出が必要になった」というわけではないこと。
これから国会で審議され、法律が成立した後に、具体的な施行日が決まることになります。
今すぐ新制度の書類を提出しなければならないわけではないので、そこは慌てなくて大丈夫ですよ。
ただし、成立後に準備を始めるより、今から会社の株主構成を整理しておくと安心です。
2. 実質的支配者の届出義務はどの法人が対象?25%ルールも紹介
2-1. 株式会社だけでなく合同会社や中小企業も対象になる?
今回の法案では、上場会社など一部を除き、幅広い法人が届け出の対象になる予定です。
特に中小企業の経営者さんは注目しておきたいところ。
| 法人・事業形態 | 対象となる可能性 |
|---|---|
| 非上場の株式会社 | 原則として対象 |
| 合同会社 | 対象 |
| 合名会社・合資会社 | 対象 |
| 一般社団法人 | 対象となり得る |
| NPO法人 | 対象となり得る |
| 医療法人 | 対象となり得る |
| 上場会社 | 原則として除外 |
| 国・地方公共団体 | 除外 |
| 個人事業主 | 法人ではないため今回の法人届出義務の対象外 |
このほか、国内に不動産を保有するなど、一定の条件に該当する外国法人も対象に含まれる予定です。
ここで大切なのは、会社の規模だけで判断しないこと。
例えば、社長と従業員2人で経営している株式会社でも、非上場の法人であれば対象になると考えられます。
「うちは小さいから関係ないよね♪」
そう思っていたら、実は届け出が必要だった!
なんてことにならないように注意したいですね。
なお、法人の種類によって実質的支配者の判定方法が異なるため、正式な対象範囲は成立後の法律や関係規定で確認する必要があります。
2-2. 議決権25%超とは?25%ちょうどはどうなる?
今回の制度で注目されている数字が「25%」です。
株式会社などでは、議決権の25%を超える割合を直接または間接に保有する個人などが、実質的支配者の判断基準になります。
ここで少し注意!
法案で示されているのは、単純な「25%以上」ではなく「25%超」という基準です。
例えば、次のケースを見てみましょう。
| 議決権の保有割合 | 25%超の基準 |
|---|---|
| 10% | 該当しない |
| 20% | 該当しない |
| 25%ちょうど | 該当しない |
| 26% | 該当する |
| 30% | 該当する |
| 51% | 該当する |
ただし、この表は25%超という数値基準だけを比較したものです。
実際には、50%を超える議決権を持つ人の存在や、別の方法による支配関係なども考慮されます。
例えば、Aさんが60%、Bさんが30%の議決権を保有している場合、30%を持つBさんまで必ず実質的支配者になるとは限りません。
また、25%以下でも、出資関係以外の方法で経営を実質的に支配している人が該当する場合があります。
つまり、「25%を持っているかどうか」だけでは判断できないんですね。
2-3. 社長本人が株式を持っていない場合は?
例えば、社長は雇われている立場で、株式をほとんど持っていない会社もありますよね。
この場合、社長という肩書だけで実質的支配者が決まるわけではありません。
株式や議決権を誰が持っているのか、誰が経営に強い影響力を持っているのかを確認する必要があります。
また、合同会社や一般社団法人などでは、株式会社と同じ株式保有割合だけで判断することはできません。
大事なのは、会社の種類に合った基準で「本当の支配関係」を確認することです。
3. 実質的支配者の届け出では何を提出する?期限や罰則は?
3-1. 届け出る情報は氏名・住所・生年月日・国籍など
新しい法案では、法人が実質的支配者の情報を把握し、法務大臣に届け出る仕組みが予定されています。
届け出る主な情報は次のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 国籍
- その他、実質的支配者に関する必要な情報
届け出先は法務局などを通じた公的な仕組みになる予定です。
例えば、社長の家族や親族が株式を保有している会社では、誰がどの程度の議決権を持っているのか確認しておくことが大切になります。
会社の株式を別の法人が保有している場合には、その先の支配関係まで調べる必要が生じることもあります。
なお、具体的な届け出の様式や添付書類、オンライン申請の方法などは、今後の正式な案内を確認する必要があります。
3-2. 既存法人も施行日から30日以内に届け出る予定
今回の法案で見落としたくないのが、すでに設立されている法人の取り扱いです。
「新しく会社を作る人だけの話じゃないの?」
と思うかもしれませんが、そうではありません。
法案では、既存の法人についても、施行日から30日以内に実質的支配者の情報を届け出る仕組みが予定されています。
また、新しく設立する法人は設立から30日以内、届け出た情報に変更が生じた場合も原則として30日以内の対応が求められる予定です。
| 状況 | 法案で予定されている期限 |
|---|---|
| 施行時にすでに存在する法人 | 施行日から30日以内 |
| 施行後に新しく設立する法人 | 設立から30日以内 |
| 届出内容に変更があった場合 | 原則として変更を知った日から30日以内 |
ただし、これらは2026年10月23日に提出された法案に基づく内容です。
今後の国会審議によって変更される可能性があります。
3-3. 届け出を忘れたら罰金になる?
新制度では、届け出を行わない場合や虚偽の届け出を行った場合の罰則も設けられる予定です。
法案には、悪質な虚偽の届け出や催告を受けても届け出ない場合などに、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、あるいはその両方を科す規定が盛り込まれています。
また、正当な理由なく届け出なかった場合の過料や、長期間届け出ない法人に対する登記の閉鎖措置も予定されています。
届け出の期限から3年を経過しても届け出がない場合の措置も盛り込まれているため、制度が始まった後は放置しないことが大切です。
もちろん、単に提出を忘れた場合と、実質的支配者を意図的に隠した場合では、問題の性質が異なります。
すべての提出遅れが直ちに刑事罰になるという意味ではありません。
まずは正式な施行日と期限を確認し、必要な届け出を確実に行うことが基本ですね。
4. なぜ今、実質的支配者の届出義務化?従来の制度との違いは?
4-1. マネーロンダリング対策が大きな目的
今回の法案には、法人を利用した犯罪を防ぐという目的があります。
代表的なのが「マネーロンダリング(資金洗浄)」です。
これは犯罪によって得られたお金の出所をわかりにくくする行為のこと。
例えば、犯罪グループが複数の会社を経由して資金を移動させると、誰が本当のお金の管理者なのか把握しにくくなる場合があります。
そこで、会社の実質的支配者を公的機関が把握できるようにするわけです。
また、法人名義で土地を所有している場合、実際にその法人を支配している人物を確認することにも活用が見込まれています。
つまり、新制度には金融犯罪対策だけでなく、経済安全保障の面からも重要な役割が期待されているんです。
4-2. 2022年から実質的支配者リスト制度は存在していた
実は、会社の実質的支配者を公的に確認する仕組みは、今回初めて登場したわけではありません。
法務省では、2022年1月31日から「実質的支配者リスト制度」を運用しています。
しかし、これまでの制度は対象となる株式会社などが申し出て利用する仕組みで、今回の法案のように幅広い法人へ一律に届け出を義務付けるものではありませんでした。
| 比較項目 | 従来の実質的支配者リスト制度 | 2026年の新法案 |
|---|---|---|
| 制度開始 | 2022年1月31日 | 施行日未定 |
| 対象 | 主に一定の株式会社・特例有限会社 | 上場会社などを除く幅広い法人 |
| 利用・届け出 | 任意の申出制度 | 法律に基づく義務化を予定 |
| 変更時 | 従来制度に応じた対応 | 変更時の届け出義務を予定 |
| 違反への対応 | 新法案と同じ罰則制度ではない | 罰則などを設ける予定 |
今回の大きな変化は、実質的支配者の情報を「必要な会社が申し出る仕組み」から「対象法人が届け出る仕組み」へ広げようとしていることです。
4-3. 中小企業にとっては事務負担も課題
ここで、もう一つ考えておきたいことがあります。
犯罪対策の強化は大切ですが、実際に届け出を行うのは企業です。
大企業なら法務部門や総務部門で対応できるかもしれません。
でも、従業員が数人の小さな会社ではどうでしょう?
社長が営業も経理も人事も担当しているケースだってありますよね。
そんな会社に新しい事務手続きが加わると、負担が増える可能性があります。
実際、日本商工会議所なども、実質的支配者情報の把握を進める必要性を認めながら、事業者の負担軽減を求めています。
制度の目的が正しくても、手続きが複雑すぎれば別の問題が生まれてしまいます。
今後は届け出方法の簡素化や、既存の情報を活用して企業の手間を減らせるかどうかも重要なポイントになりそうです。
5. 中小企業の経営者は今から何をすべき?よくある疑問も紹介
5-1. 今すぐ届け出る必要はある?
2026年10月24日現在、新法案に基づく届け出を今すぐ行う必要はありません。
まだ法律が成立しておらず、新しい制度も施行されていないためです。
ただし、銀行口座の開設などで実質的支配者の確認を求められる既存の制度はあります。
今回の法案がまだ施行されていないからといって、すべての確認義務が存在しないわけではありません。
ここは混同しないようにしたいですね。
5-2. 今から準備しておくと安心なこと
制度の開始を見据えて、中小企業の経営者が確認しておきたいのは次の点です。
- 自社が株式会社・合同会社など、どの法人形態に該当するか
- 株主や出資者は誰なのか
- 議決権を25%超保有する人がいるか
- 別の法人を通じた間接的な支配関係があるか
- 株主構成や実質的な支配関係に変更予定があるか
特に、親族で株式を分けている会社や、複数の法人が出資している会社では、少し複雑になる可能性があります。
まずは株主名簿などを確認し、現在の支配関係を把握しておくとよいでしょう。
個別の判定が難しい場合は、司法書士や弁護士などに確認する方法もあります。
5-3. よくある疑問Q&A
Q. 会社の社長なら必ず実質的支配者になりますか?
いいえ。代表取締役という肩書だけでは決まりません。
議決権の保有状況や経営への影響力など、実質的な支配関係を踏まえて判断します。
Q. 25%ちょうどの株式を持っている人は対象になりますか?
議決権25%超という数値基準だけでは対象になりません。
ただし、別の方法で経営を実質的に支配している場合など、ほかの条件から該当する可能性はあります。
Q. 一人社長の株式会社も対象ですか?
はい。非上場の株式会社であれば、社長一人だけで経営している会社も原則として対象になります。
例えば、社長が議決権の100%を保有していれば、通常はその社長が実質的支配者に該当します。
Q. 合同会社も25%超の出資者を届け出るのですか?
合同会社も新制度の対象になる予定ですが、株式会社と同じ25%超という基準だけで判断するものではありません。
法人形態に応じた実質的支配者の判定方法を確認する必要があります。
Q. 個人事業主やフリーランスも対象になりますか?
法人を設立せず、個人として事業を行っている場合は、今回の法人に対する新しい届出義務の対象ではありません。
ただし、合同会社や株式会社などを設立して事業を行っていれば、その法人は対象となる可能性があります。
Q. 届け出た氏名や住所は誰でも見られるようになりますか?
いいえ。法案は、届け出た個人情報を誰でも自由に閲覧できる制度を予定しているわけではありません。
関係行政機関による必要な情報の利用や、一定の金融機関などによる条件付きの照会が想定されています。
5-4. 総集録|2026年の新法案は小さな会社にも関係する
2026年10月23日に閣議決定された実質的支配者の届出義務化法案は、会社の透明性を高め、法人を利用した犯罪を防ぐことを目的としています。
今回のポイントは次のとおりです。
- 2026年10月23日に法案が閣議決定・国会提出された
- 2026年10月24日現在、法律はまだ成立していない
- 具体的な施行日は未定
- 上場会社などを除く幅広い法人が対象となる予定
- 議決権25%超などが実質的支配者を判断する基準になる
- 既存法人も施行日から30日以内の届け出が予定されている
- 悪質な虚偽届出や不届出には罰則などが設けられる予定
今回の制度で注目したいのは、単に新しい書類が増えることではありません。
これまで会社の名前や代表者だけでは見えにくかった「本当に会社を支配している人」を、国が継続的に把握しようとしている点です。
一方、中小企業にとっては事務負担の増加も心配されます。
法律の成立だけでなく、実際にどれだけ簡単に届け出ができる仕組みになるのかも、今後の重要な注目点ですね。
まずは、自分の会社が対象になるのか、誰が実質的支配者に該当するのかを整理しておきましょう。
制度が始まってから慌てるより、今のうちに会社の仕組みを確認しておくことが、いちばんの準備になりそうです♪
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