ベビーシッターや家事代行を利用すると、税金が安くなるかもしれません。
政府は2027年度の税制改正に向けて、ベビーシッターや家事支援サービスの利用費用を税制面で優遇する仕組みを検討しています。
「家事代行まで減税の対象になるの?」「2027年の何月から?」「いくら戻ってくるの?」と、気になることはたくさんありますよね。
実は、2026年9月に公表された政府の税制改正要望には、子育て家庭だけでなく、介護と仕事を両立する家庭への支援も盛り込まれています。
ただし、制度が決定したわけではありません。対象者や減税額、申請方法などは、まだ確定していないのです。
この記事では、2026年10月13日時点の政府資料をもとに、税優遇がいつから始まるのか、誰が対象になりそうなのか、どのような課題があるのかまで、わかりやすく紹介します。
1.ベビーシッター・家事代行の税優遇は2027年いつから始まる?
1-1.2027年度の税制改正に向けて正式に要望されている
結論からいうと、2026年10月13日時点では、税優遇の開始日は決まっていません。
ただし、制度化に向けた動きは具体化しています。
2026年9月に公表された、こども家庭庁と厚生労働省の「令和9年度税制改正要望」には、次の項目が盛り込まれました。
「家事支援サービスやベビーシッター等の利用に要する費用に係る税制上の所要の措置」
少し難しい名前ですが、簡単にいうと、家事代行やベビーシッターなどを利用した人の所得税負担を軽くする制度を求めているということです。
注目したいのは、単に政治家がアイデアを話しただけではなく、政府の担当省庁が税制改正要望として提出している点です。
ただし、税制改正要望は制度の決定通知ではありません。
今後、税制改正の議論を経て、具体的な制度設計や必要な法改正が行われるかどうかが決まります。
1-2.2026年から2027年までの動きを時系列で確認
| 時期 | 主な動き | 状況 |
|---|---|---|
| 2025年12月 | 2026年度税制改正大綱で利用促進策の検討方針を示す | 検討方針 |
| 2026年4月 | 家事支援サービスの国家資格創設について政府が説明 | 準備・検討 |
| 2026年7月21日 | 日本成長戦略を閣議決定 | 支援策の検討を明記 |
| 2026年8月27日 | 城内担当大臣が税制措置を含む支援策は検討中と説明 | 詳細未確定 |
| 2026年9月 | 2027年度税制改正要望に関連項目を掲載 | 正式な要望段階 |
| 2026年末ごろ | 2027年度税制改正大綱の取りまとめが見込まれる | 今後の注目点 |
| 2027年秋ごろ | 家事支援サービスの国家資格試験の初回実施を目指す | 予定・検討中 |
ここで注意したいのが、2027年度という言葉です。
2027年度の税制改正要望に掲載されたからといって、2027年4月1日から利用料金が安くなるとは限りません。
所得税は原則として暦年単位で計算するため、仮に2027年度の改正で制度が成立しても、実際にいつの利用分から適用されるかは別途決める必要があります。
また、家事支援サービスの国家資格試験が2027年秋ごろに予定されていることと、税優遇の開始時期は同じではありません。
「2027年に始まる」という情報だけで利用計画を立てるのは、まだ早い段階です。
1-3.2026年夏に決まるはずだったのでは?
過去の政府資料では、2026年夏をめどに税制措置を含む支援策を検討する方針が示されていました。
しかし、2026年8月27日の大臣記者会見では、支援策について引き続き検討していると説明されています。
その後、2027年度の税制改正要望に関連項目が盛り込まれました。
つまり、2026年夏は制度の開始時期ではなく、検討を進めるための目安だったということです。
今後の大きな注目点は、2026年末ごろに取りまとめられると見込まれる2027年度税制改正大綱です。
そこで具体的な仕組みが示されるかどうかが、制度実現を判断する重要なポイントになります。
2.税優遇の対象者は誰?家事代行・ベビーシッター・介護も対象?
2-1.子育て家庭だけでなく介護をする家庭も想定されている
今回の制度で特徴的なのは、子育て支援だけを目的にしていないことです。
政府の税制改正要望では、子育てや介護などによる離職を防ぎ、仕事と家庭生活を両立しやすくすることが目的として示されています。
たとえば、次のような家庭が支援の必要性を考えるうえで想定できます。
- 共働きで、子どもの預け先を確保するのが難しい家庭
- 子どもの急な事情で、仕事を休まざるを得ない家庭
- 育児と家事に追われ、働く時間を確保しにくい家庭
- 親の介護と仕事を両立している家庭
- 介護保険サービスだけでは家事の負担を減らせない家庭
ただし、これらの家庭がすべて税優遇の対象になると決まったわけではありません。
所得制限や就労条件、扶養する家族の年齢など、具体的な対象要件は今後の制度設計によって決まります。
2-2.どんなサービスが税優遇の対象になる?
2027年度税制改正要望には、家事支援サービス、ベビーシッター、認可外保育施設などの利用費用が記載されています。
| サービス | 税優遇の検討状況 |
|---|---|
| ベビーシッター | 利用費用が要望に明記されている |
| 家事代行サービス | 利用費用が要望に明記されている |
| 認可外保育施設 | 利用費用が要望に明記されている |
| 掃除・洗濯・料理代行 | 家事支援に含まれ得るが、個別の対象範囲は未定 |
| 介護をする家庭向けの家事支援 | 政策上の支援ニーズとして想定されている |
| 個人間で契約する家事代行 | 対象になるか未定 |
ここで注目したいのは、家事代行という名前が付いていれば、何でも対象になるわけではないということです。
たとえば、掃除だけの依頼、料理の作り置き、買い物代行などを、どこまで認めるかは明らかになっていません。
政府はサービスの品質や信頼性を重視しています。
そのため、利用料金だけでなく、サービスを提供する事業者やスタッフの資格が条件になる可能性もあります。
2-3.家事代行の国家資格が2027年に新設される?
政府は、家事支援サービスの品質と信頼性を高めるため、国家資格となる技能検定の創設を進めています。
2026年4月28日の厚生労働大臣記者会見では、2027年秋ごろに初回試験を実施する方向で検討していると説明されました。
これは、家事代行スタッフの技能を客観的に評価する仕組みです。
現在の民間資格とは異なり、国が定める技能検定制度として整備することを目指しています。
一方、ベビーシッターについては、家事支援サービスと同じ新たな国家資格を設ける方針ではありません。
2026年5月8日の国会答弁では、こども家庭庁が、ベビーシッターについては保育士や看護師、所定の研修を受けた人などを想定した既存の制度があり、新たな国家資格は検討していないと説明しています。
つまり、両者は少し事情が違います。
- 家事代行:新しい国家資格となる技能検定の創設を検討
- ベビーシッター:既存の資格や研修制度を踏まえて品質・安全性を確保
ただし、国家資格を持つスタッフだけが減税の対象になるのか、一定の基準を満たす事業者にも対象を広げるのかは未定です。
将来の税優遇を期待して、今から特定の資格や事業者を選ぶ必要があるとまではいえません。
3.家事代行・ベビーシッターで税金はいくら安くなる?申請方法は?
3-1.減税額や上限金額はまだ決まっていない
最も知りたいところですが、2026年10月13日時点では、具体的な減税額は発表されていません。
2027年度税制改正要望では、対象税目として「所得税」が明記されています。
一方、国の税収がどれくらい減るのかという見積額については、精査中とされています。
現時点で確定していない主な項目は、次のとおりです。
| 項目 | 2026年10月13日時点 |
|---|---|
| 減税額 | 未定 |
| 年間の利用上限額 | 未定 |
| 所得制限 | 未定 |
| 子どもの年齢条件 | 未定 |
| 対象となる家事の種類 | 未定 |
| 所得控除か税額控除か | 未定 |
| 確定申告の必要性 | 未定 |
| 申請方法・必要書類 | 未定 |
現段階では、利用料金の何%が戻るといった具体的な計算はできません。
3-2.所得控除と税額控除では、戻ってくる金額が違う
そもそも、税優遇と聞いても、仕組みが少しわかりにくいですよね。
代表的な方法として、所得控除と税額控除があります。
所得控除は、税金を計算する前の所得から一定額を差し引く仕組みです。
税額控除は、計算された税金から一定額を直接差し引く仕組みです。
仮に10万円が控除対象になる場合を考えてみましょう。
| 仕組み | 計算例 |
|---|---|
| 所得控除10万円 | 所得税率10%なら所得税が約1万円減る |
| 税額控除2万円 | 所得税額から2万円を差し引く |
| 利用料金への直接補助2万円 | 利用者の費用負担が2万円軽くなる |
※すべて仕組みを説明するための仮定です。実際の制度案の金額ではありません。所得控除の例は復興特別所得税や各種調整を考慮しない単純計算です。税額控除についても十分な納税額がある場合を想定しています。
大切なのは、所得控除と税額控除では、同じ金額を対象にしても減税効果が違うという点です。
また、税金をほとんど納めていない家庭にとっては、一般的な控除方式では十分な恩恵を受けられない可能性があります。
今後どちらの方式が採用されるかによって、家計への影響は大きく変わります。
3-3.すでに家事代行を使っている人も対象になる?
2026年に支払った家事代行やベビーシッターの利用料金が、2027年の新制度でさかのぼって対象になるかは不明です。
現時点で遡及適用の方針は確認されていません。
すでにサービスを利用している家庭は、通常の家計管理として領収書や利用明細を保管しておくとよいでしょう。
ただし、領収書があるだけで、新しい税優遇を受けられるわけではありません。
対象となる利用期間や必要書類が正式に発表されるまでは、税優遇を前提に高額な契約をすることは避けた方が無難です。
3-4.2026年でも使えるベビーシッター支援制度はある
新しい税優遇は検討中ですが、ベビーシッターの利用費を支援する既存制度はあります。
その一つが「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」です。
2026年度の通常割引券は、1枚当たり2,300円です。
対象児童1人につき、1日に最大2枚まで使える仕組みとなっており、条件を満たせば1日最大4,600円の割引が受けられます。
ただし、利用できるのは対象企業の従業員などで、会社が制度を導入していることや、対象サービスを利用することなどの条件があります。
また、自治体によっては、独自のベビーシッター利用料助成制度を設けています。
東京都では、一時預かりのベビーシッター利用を支援する事業も実施されていますが、対象年齢や補助条件は自治体によって異なります。
2027年の税優遇を待たなくても、利用できる支援がないか先に確認する価値があります。
4.なぜ政府は家事代行まで税優遇する?メリットと見落としがちな問題
4-1.目的は家事を楽にすることだけではない
今回の政策を理解するうえで重要なのが、政府が家事代行やベビーシッターを、仕事と家庭を両立するためのサービスとして位置づけていることです。
2027年度税制改正要望では、出産・育児による離職者が年間約15万人、介護・看護による離職者が年間約11万人いることが示されています。
また、第一子出産前後の女性の継続就業率は2021年時点で69.5%となっており、政府は2030年までに80%へ引き上げる目標を掲げています。
これらの数字が示しているのは、育児や介護が働き続けるうえで大きな負担になっているという現実です。
たとえば、働く時間は確保できても、帰宅後に料理、掃除、洗濯、子どもの世話が待っている家庭もあります。
仕事を続けたいのに、家庭生活が回らない。
そこで政府は、家庭内で抱えていた家事を外部サービスに任せることで、仕事を続ける選択肢を増やそうとしています。
つまり、今回の政策は単なる家事の割引ではなく、離職を防ぎ、働く人を支える仕組みとして検討されているのです。
4-2.税優遇があっても利用料金が高ければ意味がない?
ここには、見落とせない問題があります。
たとえば、月3万円の家事代行サービスを利用するとします。
年間では36万円の出費です。
仮に将来、数万円の税負担が軽くなったとしても、残りの利用料金は家庭が支払わなければなりません。
税優遇があるからといって、すべての家庭が気軽に使えるわけではないのです。
さらに、次のような課題も考えられます。
| 課題 | 利用者への影響 |
|---|---|
| サービス料金が高い | 税優遇後も家計負担が残る |
| 所得税の負担が少ない | 控除方式によっては減税効果が小さい |
| 地方に事業者が少ない | 使いたくても利用できない |
| 有資格者に対象を限定 | 安全性が期待できる一方、利用先が限られる可能性 |
| 申請手続きが複雑 | 利用者の手間が増える |
なかでも気になるのは、収入に余裕のある家庭ほど利用しやすい仕組みになってしまう可能性です。
本当に支援を必要としている家庭に制度を届けるためには、減税額だけでなく、所得制限や直接補助との組み合わせも重要になります。
4-3.国家資格を作ることで家事代行の料金が高くなる可能性も
国家資格の創設には、サービスの品質を高めるという狙いがあります。
家事代行を頼むとき、利用者にとって気になるのは料金だけではありません。
知らない人を自宅に入れることへの不安や、サービスの品質、安全性、トラブルへの対応なども判断材料になります。
技能を客観的に評価する仕組みが整えば、利用者が事業者を選ぶ際の参考になることが期待されます。
一方、新しい資格制度によって研修や人材確保にコストがかかれば、サービス価格に影響する可能性もあります。
資格を持つスタッフが不足すれば、予約が取りづらくなることも考えられます。
もちろん、資格制度によって必ず料金が上がると決まったわけではありません。
重要なのは、税優遇によって負担を軽くする効果と、サービスの品質を確保するための費用をどう両立させるかという点です。
4-4.実は過去にもベビーシッター減税が要望されていた
今回の税優遇は、突然出てきた新しい発想というわけではありません。
2027年度税制改正要望の資料には、2016年度から2020年度にかけても、ベビーシッターや認可外保育施設の利用料金に関する税額控除の創設が要望されていたことが記載されています。
つまり、こうした減税制度は以前から検討されていたのです。
それでも、当時の要望どおりの制度が実現したわけではありません。
ここからわかるのは、税制改正要望に掲載されたことと、実際に制度が成立することは別だという点です。
今回も、国家資格制度との関係、税収への影響、対象者の範囲など、決めなければならないことが残っています。
一方で、政府が日本成長戦略に位置づけ、複数の省庁が2027年度の税制改正要望を提出していることは、今後の進展を追う理由になります。
5.総集録|2027年の税優遇で本当に家事代行が使いやすくなる?
2027年度に向けて、ベビーシッターや家事代行の利用費用を税制面で優遇する仕組みが検討されています。
2026年9月には、こども家庭庁と厚生労働省が正式な税制改正要望を提出しました。
制度の目的は、単に家事を楽にすることではありません。子育てや介護の負担によって働き続けることを諦める人を減らし、家庭と仕事を両立しやすい環境を整えることにあります。
ただし、2026年10月13日時点では、開始日、対象者、控除額、申請方法は決まっていません。
2027年秋ごろには家事支援サービスの国家資格試験も計画されていますが、その日から税優遇が始まるわけではない点にも注意が必要です。
今後、特に注目したいのは、どのくらい税金が安くなるかという数字だけでなく、誰がその恩恵を受けられるのかということです。
所得税の負担が少ない家庭にも支援が届くのか。地方でも対象サービスを利用できるのか。国家資格によって安全性が高まる一方、価格が上がることはないのか。
こうした点によって、制度の実際の価値は変わります。
2027年に向けて税優遇の検討が進んでいることは確かですが、制度の実施は未確定です。
まずは2026年末ごろの税制改正大綱で、具体的な内容が示されるかを確認することが重要です。
また、新制度を待つ間も、勤務先のベビーシッター割引券や自治体の助成制度など、今すぐ使える支援がないか確認しておくとよいでしょう。
6.よくある質問Q&A
Q1.2027年4月から家事代行の料金が安くなるのですか?
2026年10月13日時点では決まっていません。
税優遇が実現した場合でも、利用料金そのものが値下げされるとは限りません。税金の計算で負担を軽減する方式になる可能性があり、具体的な適用開始日は今後の発表を待つ必要があります。
Q2.独身者や子どものいない家庭も税優遇を受けられますか?
現時点では不明です。
政府は子育てや介護などによる離職防止を政策目的として掲げていますが、対象となる世帯や所得要件はまだ決まっていません。
独身者でも、親の介護をしている人などが対象になる可能性は考えられますが、確定した制度ではありません。
Q3.2026年に支払ったベビーシッター代も減税対象になりますか?
新しい税優遇が過去の利用分に適用されるかは未定です。
対象となる利用期間が公表されていないため、2026年の費用が後から控除できるとは考えない方がよいでしょう。既存の助成制度については、それぞれの適用条件を確認してください。
Q4.家事代行スタッフは国家資格がないと働けなくなるのですか?
国家資格がないと働けなくなるという方針は、現時点で確認されていません。
政府が検討しているのは、家事支援サービスの技能を評価する国家資格となる技能検定の創設です。
資格の保有が税優遇の適用条件にどこまで関係するのかについても、今後の制度設計を確認する必要があります。
Q5.2027年の税優遇が正式に決まったか、どこで確認できますか?
財務省の税制改正に関する発表や、こども家庭庁、厚生労働省の公式情報で確認できます。
まず注目したいのは、2026年末ごろに取りまとめられると見込まれる2027年度税制改正大綱です。
ただし、大綱に盛り込まれた場合でも、最終的な適用条件や開始日は法律などで確認する必要があります。
コメント