東京ヴェルディは2026年10月8日、相馬直樹氏の監督就任を発表しました。開幕からリーグ戦8試合で勝利がなく、19位に沈むチームを立て直すため、城福浩前監督から指揮を引き継ぎます。
なぜ、このタイミングで相馬直樹監督なのでしょうか。クラブは、積極的なプレスと組織的な守備、ゴールを最優先する姿勢を評価したと説明しています。ただし、最大の決め手は戦術や経歴だけではありません。クラブが目指す未来に、本人が強く共感したことも挙げています。
さらに気になるのが、相馬監督の代名詞として紹介される「狂気のサッカー」という言葉です。名前は刺激的ですが、中身は勝つための狙いを徹底する組織的なサッカー。就任の背景から、その特徴と東京ヴェルディでの課題まで見ていきます。
※情報確認日:2026年10月8日
1.相馬直樹が東京ヴェルディの監督になったのはなぜ?
1-1.クラブが評価したのは、守備の構築力とゴールへのこだわり
東京ヴェルディは、新監督を迎える理由を公式に説明しています。
相馬直樹氏を評価したポイントは、主に次のとおりです。
| 評価された点 | わかりやすく言うと |
|---|---|
| 選手としての実績と豊富な監督経験 | 複数のクラブで、異なる状況のチームを率いてきた |
| 積極的なプレス | 相手に自由にプレーさせず、ボールを奪いに行く |
| 組織的な守備の構築 | 個人任せにせず、チーム全体で守る仕組みを作る |
| ゴールを最優先する姿勢 | ボールを回すことより、得点につながるプレーを重視する |
クラブは、城福前監督が築いてきた守備を発展させ、そこから攻撃へスムーズにつなげることを期待しています。
つまり、今回の監督交代は「これまでのチームをすべて捨てる」という説明ではありません。積み重ねた土台を使いながら、勝利に結びつく部分を改善したいという方針です。
1-2.最大の決め手は、クラブの未来への共感だった
戦術面の評価に加えて、クラブが最大の決め手としたのは、相馬氏が東京ヴェルディの未来像に強く共感し、ともに歩む意思を示したことです。
ここは、単に「経験豊富な監督だから」と片づけられない部分です。
シーズン途中の監督交代では、目先の勝点が必要になります。一方で、そのためにクラブが大切にしてきた方向性を大きく変えると、その後の選手育成や補強にも影響します。
今回の説明から読み取れるのは、東京ヴェルディが短期の立て直しと、長期のチーム作りの両方を託せる相手として相馬氏を選んだ、ということです。
ただし、これはクラブの期待です。実際に両立できるかは、今後の試合で確かめる必要があります。
1-3.元ヴェルディの選手だが、OBというだけで選ばれたわけではない
相馬氏は2002年、東京ヴェルディ1969に選手として所属していました。今回の就任は、かつてプレーしたクラブへの帰還でもあります。
ただ、クラブが説明した招聘理由の中心は、監督としての能力と目指す方向への共感です。
「元所属選手だから呼ばれた」という理解だけでは、今回の人選の理由を十分には説明できません。
2.城福浩監督はなぜ交代?開幕8戦未勝利と19位の現実
2-1.クラブは第8節終了時点の順位を重く受け止めた
東京ヴェルディは2026年10月5日、城福浩監督との契約解除を発表しました。
中村考昭社長は、第8節終了時点で19位という状況を重く受け止め、クラブの将来を見据えて総合的に判断したと説明しています。
監督交代の背景を把握するうえで、まず押さえたいのがリーグ戦の成績です。
| 項目 | 2026/27シーズン・第8節終了時点 |
|---|---|
| 勝利 | 0勝 |
| 引き分け | 4分 |
| 敗戦 | 4敗 |
| 勝点 | 4 |
| 順位 | 19位 |
| 得点 | 4得点 |
| 1試合平均得点 | 0.5得点 |
ここでの「8戦未勝利」は、リーグ戦の数字です。カップ戦まで含めて、公式戦で一度も勝っていないという意味ではありません。
リーグ戦では8試合で4得点。守備の修正とともに、どう得点を増やすかが大きな課題になっています。
2-2.城福監督の功績まで否定されたわけではない
城福監督は2022年6月から東京ヴェルディを率い、2023年にはJ1昇格を実現しました。
そのため、今回の交代を「これまでの仕事がすべて失敗だった」と見るのは適切ではありません。クラブも、J1復帰と発展への貢献に感謝を示しています。
一方、城福監督は退任コメントで、補強選手がそろい、負傷者の復帰にも見通しが立ち、チーム作りはこれからだと考えていたことを明かしました。
ここには、判断の違いがあります。
現場は、戦力が整うことで改善する余地を見ていた。クラブは、現在の順位と将来への影響を踏まえ、交代が必要だと判断した。
どちらの見通しが正しかったかは、この時点では確定できません。成績不振という結果は確認できますが、その原因を監督一人に集約するのは単純化しすぎです。
2-3.監督交代から相馬直樹就任までの流れ
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年10月5日 | 城福浩監督との契約解除を発表 |
| 2026年10月7日の天皇杯 | 森下仁志ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る方針を発表 |
| 2026年10月8日 | 相馬直樹氏の監督就任と新体制を発表 |
城福監督との契約解除から3日後に、新監督が発表された形です。
3.相馬直樹の「狂気のサッカー」とは?
3-1.町田時代の徹底した戦い方を評した言葉
「狂気のサッカー」という表現は、2021年4月14日に公開されたサッカーダイジェストWebの取材記事で確認できます。
相馬氏が鹿島アントラーズの監督に就任した際、FC町田ゼルビア時代の戦い方を振り返った記事です。
したがって、東京ヴェルディが今回発表した新戦術の正式名称ではありません。また、相馬氏自身が名付けた言葉と断定することもできません。
意味を短く言えば、相手のやりたいことを封じ、勝つためのプレーをチーム全体で徹底するサッカーです。
3-2.相手に余裕を与えず、奪ったらすぐに攻める
相馬監督の町田では、積極的な守備、走り続ける姿勢、ボールを奪ってからの素早い攻撃が武器になっていました。
「相手にとってやりにくいチーム」を、個人の頑張りだけでなく、組織として作るのがポイントです。
| 特徴 | プレーの狙い |
|---|---|
| 前からプレッシャーをかける | 相手が落ち着いてパスを出す時間を減らす |
| 選手同士の距離を近くする | 味方を助け、ボールを奪った後も連係しやすくする |
| 攻守を素早く切り替える | 相手が守備を整える前に攻撃する |
| こぼれ球を拾う | 一度止められた攻撃を、次の攻撃につなげる |
| セットプレーを生かす | コーナーキックやフリーキックから得点を狙う |
たとえば、前の選手がボールを追っても、後ろの選手が離れていれば、その間を使われます。
反対に、全体が連動して距離を詰めれば、相手の選択肢を減らせます。奪った瞬間も味方が近くにいるため、攻撃へ移りやすくなります。
「たくさん走る」の一言で終わらせると、肝心な仕組みを見落とします。誰が動き、その動きに誰が合わせるかまでそろえるサッカーなのです。
3-3.ロングボールも、次の攻撃まで含めて考える
町田時代には、ボール保持にこだわりすぎず、敵陣へ早くボールを運ぶ戦い方も見られました。
狙いは、長いボールを蹴って終わることではありません。
相手がはじき返したボール、いわゆるセカンドボールを拾い、もう一度攻める。その繰り返しによって、相手陣内でプレーする時間を増やします。
見た目には単純な攻撃でも、周囲の選手がどこへ動くかがそろっていなければ成立しません。むしろ、最初のパスを直接つなげられなかった後の準備が問われます。
3-4.「狂気」は乱暴さではなく、徹底ぶりを表している
取材記事では、この言葉は肯定的な意味で使われています。
危険なプレーや反則を推奨する意味でも、守備を捨てて全員で攻める意味でもありません。勝つための狙いを、相手が対策してきても簡単には崩さず実行する。その徹底ぶりを表す言葉です。
ただし、ボールのある側に人数を集めれば、反対側に展開されたときの対応が課題になります。激しく奪いに行けば、かわされた後の守備も必要です。
強い圧力をかけるサッカーほど、攻める勇気と、抜かれた後への備えをセットで考える必要があります。
4.相馬直樹の実績と、東京ヴェルディで問われること
4-1.元日本代表で、複数のクラブを率いた指揮官
相馬直樹氏は1971年7月19日生まれ。現役時代は鹿島アントラーズなどでプレーし、日本代表として1998年のフランスワールドカップに出場しました。
日本代表の国際Aマッチ通算成績は58試合4得点です。
主な監督歴は次のとおりです。
| クラブ | 監督を務めた時期 |
|---|---|
| FC町田ゼルビア | 2010年、2014~2019年 |
| 川崎フロンターレ | 2011~2012年4月 |
| 鹿島アントラーズ | 2021年4~12月 |
| 大宮アルディージャ | 2022年5月~2023年5月 |
| 鹿児島ユナイテッドFC | 2025年・GM兼監督 |
| 東京ヴェルディ | 2026年10月就任 |
町田では2015年にJ2再昇格へ導き、2018年にはJ2で4位という成績を残しました。
一方、翌2019年は18位でした。同じ監督でも、毎年同じ結果になるわけではありません。好成績だけを取り上げて「就任すれば必ず立て直せる」と考えるのは早計です。
4-2.得点不足には、運動量だけでは解決しない部分もある
筆者が今回の就任で注目するのは、奪ったボールを、どれだけシュートにつなげられるかです。
前から追ってボールを奪えても、そこからパスの選択に迷えば、相手の守備は戻ってしまいます。敵陣へ早く運んでも、前線の選手が孤立していれば攻撃は続きません。
改善を見るなら、勝敗に加えて次の点が手がかりになります。
| 観察したい点 | 何がわかるか |
|---|---|
| 奪った後に前へ進めるか | 守備と攻撃がつながっているか |
| ゴール前に複数の選手が入れるか | 得点を一人の選手に頼りすぎていないか |
| こぼれ球を拾えるか | 攻撃を一度で終わらせず継続できるか |
| プレスをかわされた後に戻れるか | 積極性と守備の安定を両立できるか |
単に走行距離が増えたかより、その動きがチャンスを生んだかを見るほうが、変化を判断しやすくなります。
4-3.町田時代の再現ではなく、今の選手に合わせられるか
「狂気のサッカー」が印象的だからといって、東京ヴェルディでも町田時代と同じ配置や攻撃を採用すると決まったわけではありません。
クラブは、ゴールへ向かう考え方と、各選手の個性やアイデアを融合させることを期待しています。
ここで問われるのは、相馬監督の得意な戦い方を、現在の選手に合わせて組み立てられるかです。
過去の成功は参考になります。しかし、相手も選手も違う以上、そのまま移植すればよいわけではありません。
筆者としては、今回の人選にはクラブが説明する狙いとのつながりがあると考えます。ただ、成果を左右するのは監督の名前より、選手が迷わず実行できる形へ、どれだけ早く落とし込めるかです。
5.総集録|就任の理由は、勝負へのこだわりと未来像の一致
相馬直樹氏が東京ヴェルディの監督に選ばれた理由は、経験の豊富さだけではありません。クラブは、積極的なプレスと組織的な守備を作る力、ゴールを最優先する姿勢を評価しています。さらに、クラブが目指す未来に本人が共感したことを、招聘の最大の決め手と説明しました。
交代の背景には、2026/27シーズンのリーグ戦で開幕8試合未勝利、勝点4、19位という厳しい現状があります。一方、城福前監督にはJ1昇格を実現した功績があり、負傷者や補強の事情も含めて見る必要があります。
「狂気のサッカー」は、町田時代の徹底した戦い方を評した言葉です。相手に余裕を与えず、奪ったボールやこぼれ球から素早くゴールへ向かう。刺激的な呼び名の奥には、チーム全体の連動があります。
ただし、過去の成功が今回の成功を保証するわけではありません。今後は、得点不足が改善するか、積極的に奪いに行く守備が安定するか、現在の選手の持ち味を生かせるかが焦点です。就任理由の納得感と、実際の成果は分けて見ていくのがよいでしょう。
6.よくある質問Q&A
6-1.相馬直樹監督は、選手として東京ヴェルディに所属していた?
はい。2002年に東京ヴェルディ1969でプレーしました。今回、監督として古巣に戻る形です。
6-2.「狂気のサッカー」は相馬監督本人が名付けた?
今回確認した資料では、本人が名付けたとは確認できません。2021年のサッカーダイジェストWebの記事で、町田時代のスタイルを評する表現として使われています。
6-3.東京ヴェルディでも4バックになる?
就任発表の時点では、固定のフォーメーションは確認できません。町田時代には4-4-2を基本としましたが、それだけで今回の配置を断定することはできません。
6-4.相馬監督が町田をJ1へ昇格させた?
相馬監督が実現したのは、2015年のJ2再昇格です。2018年にはJ2で4位になりましたが、当時はJ1ライセンスを持っていなかったため、J1参入プレーオフには出場できませんでした。
6-5.相馬直樹監督の契約期間はいつまで?
今回確認した就任発表では、契約期間は明示されていません。シーズン途中の就任だからといって、今季限りと決めつけることはできません。
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